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加工しやすいが難しい、アルミニウムの旋盤加工について

アルミニウムは金属素材の中でも入手しやすく、また切削のしやすさから非常に人気の高い素材です。曲げ延ばしがしやすく変形が用意な一方、耐久性の低さをアルマイト処理やアルミ合金などでカバーすることで多様な場面で使用することができます。
加工例の多さから、アルミニウムには様々な金属加工が施されていますが、代表的な加工方法の一つに旋盤加工があります。
旋盤加工とは
旋盤加工とは金属加工の中でもよく使用されている加工方法の一つで、加工したい金属素材を回転させて、固定した刃を押し当てて削り取ります。
旋盤加工の手法には種類があり、代表的な手法として汎用旋盤とNC旋盤があります。
汎用旋盤とNC旋盤の違い
汎用旋盤とNC旋盤は、作業担当者が手動で対応する範囲が異なります。
汎用旋盤は作業担当者が刃の取り替えや加工まですべての工程を手動で行うのに対し、NC旋盤はコンピュータに操作を入力し、機械が自動的に加工を行います。この点から、旋盤加工とNC旋盤にはそれぞれメリットとデメリットが発生します。
汎用旋盤とNC旋盤の比較
種類 | 汎用旋盤 | NC旋盤 |
メリット | 加工しながら切削を微調整でき、非常に高精度の部品が作成できる | 品質を一定に維持しながら大量に加工できる |
デメリット | 作業担当者の加工技術や調子に影響される | 機械に入力するデータや図面作成の準備が必要 |
精度 | ◎ | ◯ |
大量加工 | ✕ | ◯ |
汎用旋盤は手作業によるブレや仕上がりの差は生じるものの、一つずつ加工することで高精度の特注部品などを加工できます。
NC旋盤は器械による一定操作により、品質を一定に保ちながら同じ時間で大量に加工することができます。
汎用旋盤におけるアルミニウムの特徴
特徴から考えればアルミニウムは柔軟性があり加工しやすい金属素材のように思われますが、実際のところアルミニウムの旋盤加工には高い加工技術が求められます。
1. 耐久性が低く、加工時に思わぬ傷が付きやすい
アルミニウムは削りやすい金属素材ですが、「削りやすい」ということは「傷が付きやすい」ということでもあります。
そのままで加工を行うと汎用旋盤の際は注意を払っていても表面に傷が付いてしまう可能性があります。傷を防ぐためには刃を変えたりやアルミ合金を用いるなどで、素材や加工条件を調整します。
2. 摩擦や熱に弱く、変形や溶着を起こしやすい
アルミニウムは摩擦や熱にも弱く、冷却を行わずに加工を続けていると部品の変形を招く恐れがあります。
この場合も切削する刃の種類やクーラント(冷却液)を使用し、刃の滑りやすさや加工時の摩擦具合や調整していきます。
3. 温度変化による影響が大きく、寸法が変わりやすい
アルミニウムは温度の変化による膨張・伸縮の影響が大きく、加工時の状態によっては寸法にずれが生じる恐れがあります。
汎用旋盤による加工時の調整はもちろん、NC旋盤におけるデータ入力などにも長年の経験と知識が求められる硬度な作業となります。
「アルミニウムは加工しやすい」というイメージが先行しがちですが、特に高い精度を求められる特注部品の製作においては、ハイレベルな加工技術が必要となります。
アルミニウムの高精度な加工には経験や技術が必要
アルミニウムは一般的にも「加工しやすい」というイメージが先行しており、金属加工の現場でも需要の高い金属素材です。
アルミニウムの加工しやすさは裏を返すと削れやすく傷つきやすい、変形しやすいといった加工上のデメリットも存在するため、アルミニウムで高精度な加工を行いたい場合には豊富な加工経験と技術が求められることになります。