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アルマイト処理を「行う」デメリットと「行わない」デメリットとは

アルミニウムの金属加工において一般的に処理されることの多いのがアルマイト処理です。アルマイト処理を行うことで、アルミニウムの金属素材としての欠点を補ったり、用途によっては着色を施して見た目にも美しい仕上がりを実現することができます。
アルミニウム加工の発注時に併せて依頼されることも多いアルマイト処理ですが、アルマイト処理ができないケースも存在します。
アルマイト処理とは
アルマイト処理の最も一般的な目的は「アルミニウムの表面の酸化を防ぐ」ということが挙げられます。アルミニウムは加工しやすく・扱いやすい金属素材として人気が高く、金属加工の場面でも最も多く使用されるものの一つです。
アルミニウムは、同じく使用されることの多い銅や鉄などと比較すると耐食性が高く錆びにくい金属ではありますが、表面を常に油分で覆われるような環境でなければ、目視できるレベルで腐食が進んで錆が発生します。
アルミニウムの表面を人工的に酸化させてあらかじめ酸化皮膜で覆うアルマイト処理を施し、アルミニウムの酸化を防ぐ必要があります。
アルマイト処理には錆を防ぐ効果以外にも様々なメリットがありますが、金属素材を加工する以上当然ながらデメリットも発生します。
アルマイト処理を施すと生じるデメリット
アルマイト処理は、アルミニウムの表面を酸化させて皮膜で覆うという処理になります。アルマイト処理により覆われた酸化皮膜は非常に硬く耐久性がアップしますが、この「非常に硬い酸化皮膜で覆う」という処理により、アルマイトならではのデメリットが発生します。
1. 表面の酸化皮膜が硬いため、処理後に加工を行うと破損しやすい
アルマイト処理による酸化皮膜は非常に硬くなっており、アルマイト処理を行うことで部品の耐久性がアップします。
一般的なアルマイト処理は普通アルマイト処理と呼ばれているのに対し、部品の硬度や耐久性、摩耗性の向上に特化した硬質アルマイト処理は、より耐久性が要求される産業用部品などの加工に施されています。
耐久性の向上はアルマイト処理の大きなメリットである一方、金属加工を行う際には曲げ延ばしなどの形状変化で酸化被膜が割れてしまい、ひび割れ(クラック)が生じる恐れがあります。
アルミニウムは部品加工前の段階でアルマイト処理がすでに行われている場合もあり、加工前に酸化皮膜を剥離させる追加処理を行う必要があります。
アルマイト処理を行う場合は作業工程を事前にきちんと設計しなければならず、また剥離作業の技術も要求されるため、失敗を起こさないためにはアルマイト処理の実績豊富な業者を選定しなければなりません。
2. 表面の酸化皮膜が熱による膨張・伸縮に耐えられず割れてしまう
アルマイト処理による非常に硬い酸化皮膜の脆さにより、熱の変化にも弱くなります。
表面が皮膜に覆われているということは温度変化によって内部のアルミニウムの膨張や伸縮が生じた際の逃げ場がなくなるため、内側から酸化被膜が割れてしまう恐れがあります。
これは元のアルミニウムの熱膨張率の高さによるものであり、一般的には100℃~130℃程度でひび割れ(クラック)が発生します。
アルマイト処理を施す場合は、温度変化が少なく高温になりにくい環境条件に限定されます。
アルマイト処理を行わないとどうなるのか
アルミニウムを金属加工する際にアルマイト処理で生じるデメリットは気になる問題ですが、一方でアルマイト処理を行わないとどのようなデメリットがあるのでしょうか。
アルマイト処理を行わないことで生じるデメリットとは、すなわちアルマイト処理によって生じるメリットと対比する形になります。
1. 表面が腐食して錆が発生し変色する
アルミニウムは空気と反応して薄い酸化皮膜を発生させますが、この酸化皮膜は非常に弱いため、表面の腐食を防ぐことができません。
アルマイト処理を行わずに空気に触れさせたままにしておくと、白っぽい斑模様のような錆が表面に発生します。
2. 耐久性が不足し、用途や環境条件が限られる
アルミニウムは非常に加工しやすい金属素材ですが、他の金属と比較して耐久性が低く、変形しやすい性質を持っています。
アルマイト処理を行わない場合、アルミニウムでは耐久性が足りないことも多いため、アルミニウムをそのまま利用できる条件が限られています。
また金属素材の性質としては、アルマイト処理を行わない場合アルミニウムの方が熱伝導率や導電性が高くなるため、アルミニウムを使用する場合は環境条件が重要な判断要素となります。
アルマイト処理の依頼は加工業者を慎重に選ぶ
アルマイト処理はアルミニウムの金属加工で多く処理されていいますが、アルマイト処理がどの段階で行われるかにより酸化被膜の剥離作業など追加の工程が必要になります。
適切な工程で加工を行わないとひび割れ(クラック)が発生してしまう原因となってしまうため、アルミニウムの金属加工を依頼する際には加工業者がアルマイト処理について知識を持っているか、アルマイト処理の加工実績が豊富かどうかを必ず確認しなければなりません。