前回に引き続き、アルミ合金の種類を1000番ごとにご紹介していきます。
4000系アルミニウムについてご紹介した記事に続き、今回は5000系アルミニウムについて、性質や主な用途についてご紹介いたします。

アルミニウムの種類について

アルミニウムは純アルミニウム、他の金属素材と合成したアルミ合金とそれぞれ1000番ごとに型番が決められています。
純アルミニウムは1000番台、2000番台以降はアルミニウムと合成する成分の違いにより区切られます。

5000系アルミニウム（アルミマグネシウム合金）とは

5000系アルミニウムはアルミニウムとマグネシウムを合成したアルミニウム合金です。
同じ5000系アルミニウムの中でもマグネシウムの含有率に違いがあり、中程度～高強度の幅を持たせることができます。

5000系アルミニウムは建築パネルから厨房製品、船舶などの溶接構造用材料などに使用されています。

5000系アルミニウム（アルミマグネシウム合金）の特徴

5000系アルミニウムはアルミ合金の中でも強度によって豊富な種類が存在しており、純アルミニウムよりやや高い強度を持つものから、非熱処理合金の中では最高強度を持つ型番も存在しています。3000系と同じく幅広い用途で活用されており、強度が必要な建材や船舶、車両用の資材としても使用されています。

アルミ合金で比較した2000系アルミニウムの特徴

切削性	◯
熱伝導性	△
導電性	△
耐食性	◯
強度	◎

5000系アルミニウム（アルミマグネシウム合金）の用途

5000系アルミニウムは代表的な型番が多く、主に強度の違いによって様々な用途に使用されています。

A5005

A5005は5000系アルミニウムの中でも特に代表的な型番です。 A5005は3000系アルミニウムであるA3003と同程度の強度を持ち、純アルミニウムよりも強度がやや高くなっています。A5005は加工性や耐食性に優れているため、高い強度を必要としない用途に使用されています。

主な用途：建築内外装材、車両用装材

A5052

A5052は5000系アルミニウムの中でも代表的な中程度の強度を持つ型番です。 A5052は5000系アルミニウムの中でも中程度の強度を持つ代表的な型番で、他と同じく耐食性や溶接性に優れています。

主な用途：船舶用資材、車両用資材、建築用資材、飲料缶

A5083

A5083は5000系アルミニウムの中でも代表的な最高強度を持つ型番です。 A5083は非熱処理合金においては最も強度が高い型番です。耐熱性と溶接性だけでなく、耐海水性や低温特性にも優れているため、圧力容器など高耐性が求められる用途に使用されています。

主な用途：圧力容器、低温用タンク、船舶用資材、車両用資材

A5021

A5021はA5052と同じく中程度の強度を持っています。5000系アルミニウムの中ではマグネシウムの含有量が中程度で、シリコンの許容含有比率は比較的高くなっています。

主な用途：飲料缶

A5042

A5042は強度において中程度のA5052と高強度のA5083の中間に該当するアルミ合金です。他の5000系アルミニウムと同様、加工性や耐食性に優れており、マグネシウムとシリコンの含有量も平均程度になっています。

主な用途：飲料缶

A5154

A5042もA5042と同様、強度においては中程度のA5052と高強度のA5083の中間に該当するアルミ合金です。他の5000系アルミニウムと同様、加工性や耐食性に優れており、マグネシウムとシリコンの含有量も平均程度になっています。同様の性質を持ているA5042と比較して、チタンの含有量が高くなっています。

主な用途：船舶用資材、車両用資材、圧力容器

A5254

A5254はA5154の不純物元素を規制し過酸化水素の分解を抑制したアルミ合金で、A5154とほぼ同程度の性質を持っています。

主な用途：過酸化水素容器

A5454

A5454は中程度の強度を持つA5052よりも強度が高く、他の5000系アルミニウムと同様、加工性や耐食性に優れているほか溶接性も高くなっています。

主な用途：自動車用ホイール